
どうも!こんにちは!ものグラムです。
今回は我が地元である神戸のラーメン店、「淡水軒」のご紹介。
元々はギョウザ専門店として創業し、半世紀近く神戸元町で愛され、たった4坪しかない空間で作り上げられる味わいは庶民的でもあり、しかし今となってはなかなか頂けない深いものであった...。
今も元気に営業する、一度は行ってみたい、しかし地元でも通りすがりにはなかなか入れないだろうその正体、味わいに迫りたいと思います。
ギョウザに味噌?水ギョウザ?そこにラーメン?を見て参りましょう。ご一緒宜しくお願いいたします!
「淡水軒」に到着

「淡水軒」店舗外観
訪問は2019年7月1日、12:12。12時オープンで、この日1軒目の実食を終えてからの訪問。時間的にちょうど良かったと思いきや、この写真の入り口から顔を覗かせた所、もう手前には空きが無く、店主が「そちらからお入り下さい!」と言われ初めてその入り方を知る事となります。(笑)
写真の入り口は東側で、写真右側の道に回った入り口は北側、そして写真左側が南側、計3方向からそれぞれ空きのある席に入るシステムでした。
JR元町駅西口から西へ進むと、元町高架通商店街(モトコー)の1番街の玄関口に当たる場所にどんと構える、創業から約半世紀、現在も創業当時の面影が残っているだろう、雰囲気のある「淡水軒」。
店内はL時型のカウンターで11席とありますが、11席全てが埋まると横との間隔はかなり狭く、肩幅狭く身動きが取りにくい食事となるでしょう、そして椅子に座った後を通るのにも一苦労しそうな空間で、訪問時はワタシを入れて7名、この段階でもかなり満員感のある約4坪は独特の世界観でした。
「淡水軒」について
創業は1971年で、店主は張克正氏で、元々は氏の祖父と母親が創業した店舗で、当時本屋の倉庫だったのを借り受けたそうです。
その祖父の故郷が台湾の淡水で、それを店名にした「淡水軒」は、当時は焼ギョウザ専門店だったそうです。
張氏は大学を卒業後にこの店舗を担い、水ギョウザやラーメンもメニューに加え、ギョウザ店としての顔を持ちながら、ラーメン店としてもかなり支持され愛されて来た店舗でもあります。
団塊の世代が働き盛りのバブル期は会社員がわんさか来、注文はギョウザにビールが定番だったそう。
ちなみに、「マツコの知らない餃子の世界」に出演した東京餃子通信編集長である塚田氏も、この「淡水軒」のギョウザを高く評価しています。(東京餃子通信【神戸】「淡水軒」の大葉入りの水餃子がうまかった)
今回はそんなギョウザに歴史がありウリである「淡水軒」のラーメンを頂きたいと思います。
店主に促され南側の扉からイン
この店内の雰囲気はまさに昭和からの受け継いで来たもので、店内全体を撮れる画角では無い狭さです。しかしそれを約半世紀もの間、毎日毎日提供されているのには頭が下がる思いです。
店主奥様とギョウザを毎日約千個近くを手作業で包むと言うのにさら驚かされます。営業時間内は常に客と近い距離での真剣勝負で、この日もかなり忙しそうに、しかし慣れた手つきで淡々と仕事をしている店主、そして奥様はかなり愛想よく接して頂けたのも印象的でした。
この様にカウンター目の前にわかりやすくメニューが貼られています。今回はラーメンの目線からラーメンと焼ギョウザをオーダーさせて頂きました。後になり知ったのはマスト水ギョウザで、ラーメンを頂くならワンタンがマストだったそうです。「でもかまわん、とりあえずラーメン目線や!」と言うワケで、オーダーをしてしばらく個人的休息の時間(ぼー...笑)。
まずは「ラーメン」着丼

淡水軒「ラーメン」
綺麗な清湯(ちんたん)スープにもやし、ねぎ、大きいチャーシューが2枚乗ったラーメン(600円(税別))。とてもシンプルで醤油の美味しそうなまさに中華そばですが、最近では逆に見る機会が減っている昭和のスタイルで希少にも感じます。
では、早速頂きます。
スープについて
この様にオイルは非常に少なくだしの旨味勝負。淡麗な味わいを感じさせます。
一口頂くと広がるのは魚介、鰹の美味しさが際立つ見た目通りのすっきりした味わいで、しかし鶏ガラベースの和風テイストに感じられました。甘味のある優しい味わいの中に深さを感じさせる、ありそうで無い、インパクトは弱いながらに後から惹きつけられる味わいでした。まさに引き算のスープで、簡単そうで奥の深い味わいを一口、また一口と頂きました。
麺について
この様に中細の平打ちストレート。
ゆで加減としては柔めですが、かなり滑らかにつるつる進み、歯切れの良さもある優しく奥の深いスープに自然に馴染んだ美味しさでした。
コチラも特別なインパクトは決して無いんですが、自然に馴染む妙を感じた、それこそ絶なる美味しさ、相性なんだなあと感じる他ありませんでした。いや、本当に深かったです。
最後に「焼ギョウザ」
コチラが「淡水軒」名物の焼ギョウザ。本来マストの「水ギョウザ」を頂くのが良かったのかもしれませんが、今回はこの焼ギョウザを美味しく頂きたいと思います。
写真の左の奥(左上)に見えるのが、この神戸界隈で特徴的な味噌ダレ。一般的には醤油、酢、ラー油で頂きますが、この辺りでは味噌ダレを提供する餃子専門店は他にもあります(しかし個人的には一般的は醤油、酢、ラー油が浸透しており、地元でもかなり局地的なものであると推測されます)。
「うわっ!もっぢもっぢ!コシあるなあ」
皮のコシの強さをかなり感じ、味噌ダレのコクがまたギョウザにしっかり合う美味しさを感じながら〆ました。
「ビールとこれ、また行きたいなあ!」
と、ラーメンどこ行ってん?ですが(笑)、
本当に奥の深い淡麗の原点とも言える引き算の妙を感じたラーメン、そしてかなり力強いギョウザの美味しさのコンビもなかなか絶妙に感じた、半世紀近く愛されるのを理解出来た今回の訪問でした。
神戸エリアだけで無く、全国的に見ても年を重ねた深い味わいを提供する店舗は減る一方です。この滋味深い味わいは是非とも味わって頂きたいと個人的に思う今回の実食でした。